こんにちは。FP看護師たにれそです。
今回は雇用保険についてです。雇用保険というと失業手当が一番に思いつくと思いますが雇用保険には失業手当だけではないことを知っているでしょうか?
雇用保険は、労働者が失業した場合に必要な給付を行ったり、再就職を援助する制度ですので給付内容は失業手当だけではないのです。
では、雇用保険について詳しく解説していきます。
♢概要
雇用保険の保険者は政府で、窓口は公共職業安定所(ハローワーク)です。
被保険者:雇用されている労働者
※1週間の所定労働時間が20時間以上、かつ継続して31日以上雇用されることが見込まれる場合はパート・アルバイトでも被保険者となる。
保険料:・保険料は事業主と労働者で負担。
・保険料率と負担割合は業種によって異なる。(一般事業、農林水産・清酒製
造事業、建設事業の3つ)
※保険料率が高く設定されている理由は、就業状態が不安定で失業手当を受給する可能性が高いため。農林水産・清酒製造、建設事業は高く設定されている。
♢給付内容
〇基本手当
一般的に失業手当と言われている手当のことで働く意思と能力があるが、失業している人に対する給付です。
・給付日数
実際に失業保険を受け取れる日数のことで、離職した日の年齢、雇用保険に加入していた期間、離職理由によって決定します。詳しくは下の図を参照してください。
・受給要件
離職前の2年間に被保険者期間が通算12か月以上が必要です。ただし、倒産・解雇の場合は離職前の1年間、被保険者期間が通算6か月以上で要件を満たすことになります。
・給付額
賃金日額×給付率(50%~80%)で決定されます。
※賃金日額は離職日直前6か月間の賃金÷180
・待機期間
申請した日から仕事をしていない状態を確認する期間のことで待期の確認がとれた日の翌日から給付が開始されます。待期期間は7日間ですが直近の離職日から遡った過去5年間のうちに自己都合による退職が2回までのの場合は7日間に加えて2か月の給付制限期間が追加され、3回以上は更に増えて3か月の給付制限となります。
・受給期間
離職日の翌日から起算して原則1年間の期間に受給することができます。
※受給期間中に、病気・ケガ・妊娠・出産・育児等の理由により引き続き30日以上働くことができなくなった時は最長3年間延長ができ合計4年間となります。
〇高齢者求職者給付金
65歳以上で雇用されている人が離職した場合に一時金で支給されます。
・給付額
被保険者が1年未満 ⇒ 30日分
被保険者が1年以上 ⇒ 50日分
・待期期間
基本手当と同じ。
〇就職促進給付
就職の促進と支援をするための給付。一定の要件を満たした基本手当の受給者が再就職した場合や、アルバイト等に就業した場合に支給されます。
再就職手当、就業促進定着手当、就業手当があります。
〇教育訓練給付
労働者等が自分で費用を負担して、厚生労働大臣が指定する講座を受講し、修了した場合に費用の一部が支給されます。
一般教育訓練給付金、特定一般教育訓練給付金、専門実践教育訓練給付金があります。3つとも給付を受けるには被保険者期間が3年以上必要です。
・一般教育訓練給付金
厚生労働大臣指定の一般教育訓練を受講し修了した場合、受講料の20%相当額(上限は10万円)が支給されます。
・特定一般教育訓練給付金
厚生労働大臣指定の特定一般教育訓練を受講し修了した場合、受講料の40%相当額(上限は20万円)が支給されます。
・専門実践教育訓練給付金
厚生労働大臣指定の専門実践教育訓練を受講し修了した場合、受講料の50%相当額(上限は40万円)が支給されます。資格取得のうえ、就職につながったらプラス20%(上限は16万円)追加支給されます。
※厚生労働大臣の指定を受けている講座は教育訓練講座検索システムを活用することで検索できます。
〇雇用継続給付
高齢者や介護をしている人に対して必要な給付を行い、雇用の継続を促す制度です。
高年齢雇用継続給付(高年齢雇用継続給付金と高年齢再就職給付金)と介護休業給付の2種類あります。受給要件と支給額は同じ。
・高年齢雇用継続給付金
基本手当を受給しないで雇用を継続する人に支給。支給対象期間は60歳到達月から65歳までとなっています。
・高年齢再就職給付金
基本手当を受給後、再就職した人に支給。基本手当の支給残日数が100日以上ある場合に最大2年間支給されます。
・受給要件
雇用保険の被保険者期間が5年以上。
60歳以上65歳未満の被保険者であること。
60歳以降の賃金が60歳到達時点の賃金の75%未満であること。
・支給額
賃金の最大15%が支給。
・介護休業給付金
家族を介護するための休業した期間、支給対象となる家族について93日を限度に3回までに限り支給されます。
介護休業開始日前2年間に被保険者期間が12か月あることと支給単位期間内の就業日数が10日以下であることが要件としてあげられます。
支給額は休業前の賃金日額の最大67%相当額が支給されます。ただし、支給単位期間中に休業間賃金の80%以上の賃金が支払われいる場合は支給されません。
〇育児休業給付
子を養育するために育児休業を取得した場合に一定額が支給される制度で、育児休業給付金と出生時育児給付金があります。
・育児休業給付金
内容:満1歳未満の子(一定の場合には1歳6か月または2歳未満の子)を養育するため育児休業を取得した場合に支給。
受給要件:休業開始前2年間に被保険者期間が12か月以上あること。
支給単位期間中の就業日数が10日(10日を超える場合は就業時間が80
時間)以下であること。
支給額:休業前の賃金日額×支給日数×67%(育児休業開始から181日目以降は5
0%)
・出生時育児休業給付金
内容:子の出生日から8週間経過日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期
間を定めて子を養育するために出生時育児休業を取得した場合に支給。
受給要件:育児休業給付金と同じ。
支給額:休業前の賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×67%
※支給単位期間中に休業前賃金の80%以上の賃金が支払われている場合は支給されません。
♢まとめ
雇用保険は失業した場合の給付だけでなく再就職の援助や育児・介護休養時の給付が行われる制度です。各手続きについてはお住いの公共職業安定所(ハローワーク)へ問い合わせるだけで職員が手続きを教えてくれます。
雇用保険の給付内容について理解し自分の状況にあった給付を受けれるようにして欲しいと思います。たにれそはキャリアップのためにいくつかの資格取得のために雇用保険の利用を考えています。みなさんもキャリアアップのために勉強してはいかがでしょうか?
以上、雇用保険についての解説でした。今後ともよろしくお願いします。